2018年度

心を学ぶ講座

*対人援助にかかわる人を対象とした講座です。

対人援助の感性を磨く ~ホスピス医に学ぶ~

講師: 小澤 竹俊 先生 めぐみ在宅クリニック院長 在宅ホスピス医
「人は痛みを分かってくれると感じた人の前では苦しみを見せることができます。自分と違う人をそのまま『わかる』ことは難しいことですが、『理解者になる』ことはできます。そのためには、自分の価値観を押し付けるのでなく、相手の声に耳を傾けることが必要だと思っています。」とおっしゃる小澤先生の言葉には、何度聴いても新しい気付きがあります。
小澤先生はスピリチュアルケアの理論と実際をやさしく教えてくださいます。対人援助にかかわる方、目指す方、心を学ぼうと思うすべての方に、持って欲しい大切な感性を学びます。
昨年度までの内容と基本的に同じです。

子どもの育ちと発達障害

講師: 田中 哲 先生 東京都小児総合医療センター副院長 児童精神科医
発達障害の当人は、対人関係が苦手なのに孤独も苦手でどうしていいかわからないというジレンマを持っていたり、注意散漫や衝動のコントロールの悪さから叱られてばかりで自己肯定感を持てなかったりなど、うまくいかない悲しさを抱えています。生き辛さに共感すると共に、特性を的確に把握し、無理をさせない支援をすることがかかわる人には求められます。
また、発達障害の子どもたちはコミュニティに居場所を持てないことがありますが、子どもはコミュニティを経由しなければ、社会に出られません。
本講座は、子どもの育ちを理解して、発達障害の特性やかかわり方を知り、コミュニティの在り方にも目を向けます。
講師はいつも子どもの心に寄り添う児童精神科医の田中哲さとし先生です。

対人援助の見立てと対応

講師: 吉永 陽子 先生  長谷川病院院長 精神科医
対人援助の現場では、教科書通りにはいかないことが多く、見通しが立たないことで支援者が心身ともに疲れ、仕事のやりがいを見失うことがしばしばあります。問題を適切に理解し、支援者がひとりでかかえずに多職種との連携をはかることで、より良い支援が可能になり、ひいてはその後の支援の意欲にもつながります。
講師の吉永先生は、精神科臨床だけでなく、地域の保健や福祉のスーパーバイザーとして、現場の困難事例に数多く対応されています。本講座では、困難事例におけるアセスメントや援助職の連携について具体的に学んでいきます。

愛着障害とメンタライゼーション

講師: 岩倉 拓 先生  あざみ野心理オフィス 、日本精神分析学会認定心理療法士 聖マリアンナ 医科大学・横浜国立大学非常勤講師
愛着障害とは、乳幼児期に不適切な養育(虐待やネグレクトなどを含む)を受けたことにより、安定した愛着が形成されないために引き起こされる障害です。愛着障害を持つと衝動的・過敏的・反抗的・破壊的な行動を取ることや、人とうまく関わることができずに安定した人間関係が結べないなどの問題がみられます。これらの行動が発達障害と似ているために、同じように対応されてしまうこともあります。
しかし、愛着障害の行動や対人関係の問題は、周囲のかかわりによって改善することができます。そのかかわりの一つとしてメンタライゼーション(相手と自分には違う心があって、相手はどう思っているのだろうかと慮おもんぱかることや自分はどう思っているのだろうかと省みる力)を育てることがあげられます。
本講座では愛着障害の原因、発達障害との違い、具体的な対応方法について岩倉拓先生より学びます。

パーソナリティ障害

講師: 小羽 俊士 先生 こば心療医院院長 精神科医
どんな人との関わりでも、多少の摩擦や利害の対立はありますが、そのレベルをはるかに超 えた“理不尽なほどのストレス”を感じさせられてしまう相手がいます。その人達は、対人関 係における境界線を平気で踏み越え、気分や感情が目まぐるしく変わり、周囲が振り回された りすることが目立ちます。しかし実は本人の側から見ると人に見捨てられることを強く恐れ、 不安を抱いていたり、空虚な気持ちを抱き幸せを感じにくかったりと辛さを抱えています。
本講座では、「境界性パーソナリティ障害」を正しく理解し、相手のペースに巻き込まれず、 適正な距離で付き合うためにはどうしたらよいのかを学びます。 講師は精神科臨床経験が豊富で、患者さんに向き合う姿勢が真摯で温かい小羽俊士先生です。
***本講座は、対人援助に関わる方の為のもので、当事者向けの講座ではありません***

認知行動療法 

~ストレス・コーピングを中心に~
講師: 伊藤 絵美 先生  洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長 臨床心理士
認知行動療法は、うつ病や神経症などに高い効果が実証されている短期の心理療法です。
一般的には専門家が治療の場面で用いますが、専門家でない人であっても、その知識は日常のちょっとしたストレス場面で応用することができます。
ストレスを感じた時、その人自身が自分の考え方や行動の癖を知って、その幅を少しでも広げることができれば、うつ病などの心の病気を予防したり、気持ちを軽くしたりすることができます。
本講座では、認知行動療法の基本的な考え方と、ストレス・コーピング(ストレスに対する意図的な対処法)について学びます。自分自身がストレス・コーピングの効果を実感することで、対人援助場面でも生きた知識として役に立てることが出来ます。
昨年度までの内容と基本的に同じです。

引きこもり支援

~家族療法の観点から~
講師: 田中 究 先生  関内カウンセリングオフィス代表 臨床心理士
私たちは家族の誰かに、非行、引きこもり、摂食障害、「心の病気」などが起きた時、個人の中に原因を見出そうとします。それは時に、誰の責任か、誰のせいでこうなったのかという悪者探しへと発展し、問題解決からほど遠い状況を作り出すことがあります。
家族療法は、家族の誰かに起きた問題を、その人を取り巻くシステムの中で起きる現象と捉え、家族や関係者と援助者が力を合わせることで、問題を維持しているシステムに働きかけ、問題解決を試みていくアプローチです。
本講座では引きこもり支援を、家族療法の視点からどのように支えるかについて考えていきます。
講師は、家族療法(システムズアプローチ)やブリーフセラピーがご専門の 田中たなか 究きわむ先生です。

認知症支援 ~認知行動療法の観点から~

講師: 藤澤 大介 先生 慶應義塾大学医学部准教授・慶應義塾大学病院 精神科医
認知症になると今まで出来ていたことが出来なくなり、それに対するもどかしさや、不安、羞恥心を感じることがあります。できなくなったことを周りから指摘されたり責められたりすると、ネガティブな感情が強く残り、不安な気持ちへの対処として、自分を正当化したり身近な人の所為にしたりするため、家族や周囲の人とトラブルになるなどの問題がおこります。
本講座では、認知症の人の行動から「こころ」を想像し、その人の心に添った支援を考えます。講師の藤澤大介先生はCBT(認知行動療法)や老年期臨床の専門家です。CBTの観点から、認知症の人の行動に着目した支援と介護者の心のストレスケアを学びます。
認知症の介護に関わる人や介護者の支援に関わる人に是非とも受けていただきたい講座です。

統合失調症

講師: 柏 淳  先生  ハートクリニック横浜院長  精神科医

 統合失調症は脳の機能のバランスが崩れて起きる病気ですが、原因はいまだにわかっていません。統合失調症の方はストレスに対する脆弱性があり、それがきっかけになって発症したり、再発したりすることが多いようです。その症状が理解できないために、周囲の人は怖れて関わらなかったり、また良かれと思ってした行為で負担や余計なストレスを与えてしまったりします。
周囲の人が幻覚や妄想などの目立った症状に振り回されずに、その人の不安やストレスを少しでも理解できれば、より援助的な関わりができます。
本講座では統合失調症についての正しい知識を、臨床経験豊富で幅広い見識をお持ちの柏(かしわ) 淳(あつし)先生から学びます。

精神分析的精神療法

講師: 小羽 俊士 先生  こば心療医院院長 精神科医

精神分析的精神療法とは、症状や困りごとを治すためではなく、その症状を引き起こす不安に焦点を当てて性格の変容を目指す治療法です。精神分析の考え方の基本は、人の心の中にはさまざまな力の動きがあり、それによって不安や葛藤が生じ、心の働きに影響するというもので、そのような心のあり方を、無意識的な部分も含めて理解していくことをめざします。実際の精神分析的精神療法では、本人が心に浮かぶことを自由に話し、そのことを通して、治療者と一緒に、心の中で起きていることについて考えます。
講師は、病理や治療法について常に最新の研究されるかたわら、一貫した姿勢で精神分析的精神療法を行ってらっしゃる小羽俊士先生です。

大人の自閉スペクトラム症

講師: 柏 淳  先生  ハートクリニック横浜院長  精神科医
自閉スペクトラム症(ASD)は、その場の雰囲気が読めない、相手の気持ちを察して行動する事が苦手、微妙な言葉のニュアンスを汲み取れない、こだわりの行動がある、などが特徴としてあげられます。このため、うまく対人関係が築けず、周りとうまくいかないことで、不安になりやすく、うつ病や不安障害などの二次障害も出てくる事があります。スペクトラムには「連続体」という意味があり、その症状の内容や程度が人それぞれで明確な境界がありません。そのために、特徴を理解して一人ひとりに適切な対応をすることが望まれます。
本講座では、大人の自閉スペクトラム症について精神科臨床経験豊富で幅広い見識をお持ちの柏(かしわ)淳(あつし)先生から学びます。
2016年度の内容と基本的に同じです。

アサーション1日講座

講師: 園田 雅代 先生  創価大学教授 臨床心理士
アサーションとは、自分の考えや気持ちを、正直に率直にその場にふさわしく表現する方法です。
私たちは家庭や職場などで気持ち良いコミュニケーションを交わし、分かり合って過ごしたいと望んでいますが、つい自分を押さえてしまって思ったことを伝えられなかったり、反対に感情的、攻撃的になって後味の悪い思いをしたりしがちです。
本講座では『アサーション』の考え方とスキルを学んで、自分も相手も尊重しながら、適切に自己表現ができる事を目指します。
昨年度までの内容と基本的に同じです。

カウンセリングの技法

~人を育む積極的なカウンセリング~
講師: 福島 哲夫 先生  大妻女子大学教授 成城カウンセリングオフィス所長 臨床心理士

カウンセリング(心理療法)には、その人が持つ本来の力を回復したり、成長を促したりする効果があります。一般にカウンセラーは自分のことは話さず積極的な評価をしないで中立な立場で傾聴することが求められますが、場面によってはカウンセラーの自己開示や肯定的な介入がクライエントに効果的な変容をもたらすこともあり、それが人を育む積極的な関わりになることもあるのです。もちろんそれが単なる技法であってはならず、その背景には常にカウンセラーとしての純粋な姿勢を持ち続けることが肝要です。
本講座では、幅広い理論背景と豊富な経験を持ち後進の育成に力を注ぐと同時に、一方では常に臨床家としてあり続ける福島哲夫先生から「カウンセリングの技法」を学びます。近年、米国をはじめ世界中で注目されているAEDP(加速化体験力動療法)についてもお話いただきます。